今まで読んだ桜井鈴茂作品とは、毛色が違った。
これはこれで好き。
殺人を犯してしまった男が、日本各地を逃亡する話。桜井鈴茂作品でなければ、読まないであろう作品。
この本の魅力は、逃亡生活の話のはずなのに、生きるとは何か、人生とは何かが伝わってくるところ。
そんな言葉をメモ。
掛け違えたボランを外しては正しいボタン穴に入れ直す。そういう行為を幾度となく繰り返しながら人生はえっちらおっちら進んでいく。(「どうしてこんなところに」桜井鈴茂)
石ころのように転がっていればいいいじゃないか、だらしなく生きていればいいじゃないか(「どうしてこんなところに」桜井鈴茂)
おれはそれなりにハッピーだったかもしれない。自分では最悪だって思ってた時だって、じつはそれなりにハッピーだったのかもしれない。自分の人生や世の中に悪態をついていられる、そのこと自体ハッピーなことかもしれない。(「どうしてこんなところに」桜井鈴茂)
惨めったらしく生きろ(「どうしてこんなところに」桜井鈴茂)