北の凡

いろいろあるけれど、それでいい

人生は自分の努力ではどうにもならない苛酷なことがある。

自分で歩く自分の道は自分独自のもので、ひとりで歩くしかない。「友がみな我よりえらく見える日は」上原隆

 

勇気が出る言葉だなあ、と付箋を貼った。最近、お気に入りの言葉を見つけると、本に付箋を貼っている。

 

この言葉は、先日、読んだ「友がみな我よりえらく見える日は」に書かれていた。芥川賞作家、東峰夫さんの言葉だ。

 

 

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

 

 

東さんは、沖縄県出身で高校を2年で退学した。高校を退学した時に、自分を曲げないって決めた。その言葉通りの人生を送る。小説家になりたいと思った東さんは、小説を書く時間を作るために、安定した仕事にはつかず、日雇いの仕事をする。そうしてできたのが、「オキナワの少年」。

 

オキナワの少年 (文春文庫 ひ 3-1)

オキナワの少年 (文春文庫 ひ 3-1)

 

この本で芥川賞をとる。39歳の時に結婚。子どもも2人できた。妻がスナックを経営して生活を支え、東が、家事と育児を担当した。そうこうしていると、妻が浮気をした。東は妻と子どもを置いて家を出たのが46歳。55歳の時には、世の中が不景気になり、日雇いの仕事もなくなり、コンビニの廃棄を拾って食べるというような生活を送り、現在に至る。

 

「友がみな我よりえらく見える日は」はノンフィクション。どうやって見つけてきたんだろうという人々が登場する。

 

一人目の夫は女癖が悪く、二人目の夫は窃盗で捕まる。2人の子どもを育てる母、容貌ゆえに46年間、一度も男性とつきあったことのない独身OL等、短編のノンフィクション14編が掲載されている。

 

何かやりたいことがあって、うまくいかない時、努力不足だといわれたのなら、人は希望を持ち続けることができる。努力をすればいいのだから。ところが、あなたには向いていない、才能がないといわれたら、どんな気持ちがするだろう、そして、どうすればいいのだろうか?「友がみな我よりえらく見える日は」上原隆

 

女優志望という短編に載っていた言葉。人生には、自分の努力ではどうにもならない苛酷なことがある。この本で登場する人々は、そんな人生を送る。だけど、どこか前向きさを残して、どの短編も終わる。そこがすごい。