5月12日木曜日。
仕事帰りの俺は、
そのままラーメン屋に直行し、
最近、お気に入りのゴールデンコンビである、
ラーメンとライスと餃子の三点セットを注文したところだった。
携帯電話が震えた。
着信は母からだった。
ラーメン屋の店内ということもあり、
いつも以上に無愛想な声で、
「今、ラーメン屋だから、あとでかけ直す」とだけ母に告げ、
電話を切った。
ゴールデンコンビの三点セットを
ゆっくりと食べ終えた俺は、
店を出て車に乗り、
母に折り返しの電話をした。
「どうした?」
ラーメン屋の店内ではないのに、
いつものように無愛想な声で母に言った。
土曜日に買うことになっていた夏タイヤが間に合わないかもしれないという内容だった。
「あと、用事がなかったら切るぞ」と言う俺に、
母がぼそっと言った。
「レオが死んじゃった」
レオとは、実家で飼っていたネコの名前だ。
どうして、それを早く言わないんだと思ったが、
涙声になる母の声を聞いて言うのはやめることにした。
レオの最期が、
どうだったのかを訊き、
静かに電話を切った。
電話を切った瞬間、
母への無愛想な態度を後悔した。
かあちゃん、辛いだろうに、何て態度をとっているんだ、俺は。
すぐに、家に帰りたくない気分になったから、
あてもなく、車を走らせた。
俺にとって、レオの死は、一つの時代の終わりのようにさえ感じた。
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