どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

180000のラブレター(5)

次の日も連続でパチンコ会館玉将に行ったが、
やはり手紙なんて渡せる勇気もなく、
財布に入っているお金もなくなり、
結局、マイナス60000円。
2日で合計120000円の負け。


そして、さらに次の日もパチンコ会館玉将に向かった。
これで3日連続。

パチンコをしていない人には、
まったくもって理解できないかもしれないが、
パチンコに負けた、その日は半端じゃない自己嫌悪に陥るが、
大抵、次の日は、リセットされている。
今日は勝てるだろう。良い加減、今日は勝てるだろうと都合の良いように考える。
そして駆り立てられるようにパチンコ屋へと向かう。


パチンコ会館玉将の店内に入り、
相も変わらず、『昆虫に夢虫』に座る。

パチンコを打ちながら、
今日で最後にしようと心の中で呟く。
手紙を渡せば、パチンコ会館玉将に来づらくなるし。


1万円がなくなり、2万円がなくなる。
2時間が経過。


パチンコ会館玉将で働く好みの女性は、
今日も勤務していた。


俺は営業という仕事柄、飛び込みで営業に行くこともあるのに、
どうして、好みの女性を前にすると、
こうも緊張して手紙を渡せないんだろう。

営業も断られるのが当たり前。
食事を誘って断られるのも当たり前。

ただ、時々、幸運が起こる。
時々、起こる幸運を手にしたいがために行動を起こす。

行動を起こさなければ傷つくことはないが何も変わらない。
幸運は行動を起こさない奴には決して起こらない。

だけどなあ。だけど緊張して、どうしようもない。


パチンコをしながら、そんなことを考えていた。


ありえないことに、
俺が座る台、座る台は、
今日もうんともすんとも言わない。


6時間。
これほどまでに、あっという間に流れる時間もない。
これほどまでに、あっという間に金がなくなることも、そうそうない。
閉店の音楽が店内に流れた。

今日も60000円。
3日連続で180000円。
3日で給料を使い果たした。
俺は、何のために働いているのだろうか、と頭をよぎる。

好みの女性に手紙を渡すタイミングをうかがいながら、
足は店の外へと向かう。


もう手紙を渡すことなんてあきらめよう。
何をしていたんだ、この3日間。
足取り重く、店の外に出た。



つづく。


※この物語はフィクションです。



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