北の凡

いろいろあるけれど、それでいい

信号は赤、空は青

「鶴が飛んでいったよ」
母が嬉しげな声をあげながら家の中に入ってきた。

「まじで?まじで?」
目をキラキラさせ、母よりも興奮して、幼かった俺は、その鶴の話を聞いた。
あの話を聞いて以来、自分の目で鶴を見てみたいが、未だに見ていない。


車を運転している時、橋の上で、母より少しばかり年をとった女性が空を眺めながら歩いているのが目に入ってきた。

何を見ているのだろう。

ちょうど赤信号になった。
他の車の人は空を見ていない。

俺は、窓を開け、ちらっと、女性が眺めていたであろう地点を振り返って見た。


・・・・・。


青い空。


青い空以外、何もなかったし、何もいなかった。

俺が見ていたら、後続車の人も気になって見るだろうなと思った。
そりゃあ、気になって、確実に見る。

ちらっと後続車の人を見てみたら、後続車の人は振り返って見ていない。
えっ見ないの?

もう、何がいるとか、そんなのは関係ない。
意地。

後続車の人も空を見れ!と言わんばかりに、窓から、顔を出して眺める。
そして、ちらっと後続車の人を見る。


振り返らない。



そうこうしていたら、信号は青になった。
俺は負けた。


今度は、二度見しよう。二度見作戦でひっかけよう。



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