いつものように楽雲庵塾に届いたメールをチェックしていた。
そこに一通、ひときわ目を惹くタイトル。
そのメールのタイトルには、
テレビ番組の名前と担当者の名が書かれていた。
ある、ある。あるね、こういうメール。
迷惑メールの類。
ただ、ちょっと迷惑メールと違うんじゃないのかと思うところもあって、
とりあえず、そのメールを開いてみた。
丁寧に書かれていた文章、
メールに記されていたホームページ、
添付されていた企画書。
一人旅について語って欲しい旨が、そこには書かれていた。
まじか、まじのメールだ。
ドキドキした。
ドキドキして妄想した。
楽雲庵塾塾長と紹介される俺。
楽雲庵塾Tシャツを着て、テレビに出ている俺。
やばい、おもしろそう。
企画書に書かれていた収録日を確認する。
日曜日、東京。
仕事、その他、諸々が、頭をかすめる。
妄想から、現実に引き戻される。
今の状況じゃ無理だ。もったいないけど、早めに返事を返さないと。
と思いながら、”残念ですがお断りします”と返信した。
楽雲庵塾を読んでくれてありがとうございます。
深々と心の中で感謝した。
返信した、数日間、尾をひいた。
それにしても、もったいなかった。
もう、ないかもしれんな、こんな話。
今まで、不意に訪れたラッキーを断って、
後で、後悔したことを思い出した。
その一瞬のタイミングを掴む準備をしておけよ、俺。
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