月光(1)
月は満ちた。
満月かどうかはわからない。
わからないが、ここを逃すと、
今度、いつ写真を撮れるかはわからない。
作品作りのため、
俺は、目的地に車を走らせた。
『ぼうがくだいの写真を撮るには最高の月となりました。これから行ってくる。』
友達にメールをしたのが18:36。
友達に聞いた望岳台(ぼうがくだい)という場所で写真を撮るため、
車を走らせること1時間あまりが経過。
メールを送った友達から電話がかかってきた。
「こっち曇ってるよ」
「まじで!?いや、今更、引き下がれないぞ」
俺は、何度も、月が出ているのを確認し、
途中、実家により、母から、
「月なら、ここから撮れば良いのに」という言葉を振り切り、美瑛を目指す。
確か、美瑛に行った時に、”望岳台まで20�q”って看板があったはずだ。
そして、その望岳台まで20�qの看板の地点を通り過ぎ、
さらに前進。
看板を確認し右折。
『通行止めになってる。ぐがぉぉおお』
友達にメールをしたのが22:47。
再び電話が鳴る。
「月出てる?」
「あぁ、出てるよ。だけど行き止まり」
「上富良野の方から行けるよ」
その友達の言葉を聞き光明が射す。
ここまで来て、望岳台に行けないなんて、
気持ちのやり場に困る。
俺は、電話を切り、上富良野を目指す。
どうも、望岳台に行くためには、2つのルートがあるらしい。
美瑛から行くルートと上富良野から行くルート。
友達が電話で言っていたように、
望岳台を目指す、道は険しく、道路は当然とばかりに凍結。
道路脇の雪は、どんどん、その高さを増していった。
上へ、上へと突き進む。
時間も時間。場所も場所だから、
すれ違う車は、極端に少ない。
”吹上温泉”。
”北の国から”でも出てきた温泉を通りすぎ、さらに前進。
『・・・・・』
『ここから、道がなくねぇか・・・』
タイミングよく友達から電話が鳴る。
23:40。
「望岳台に行く道がない」俺は落胆の声で、そう呟く。
「一本道だぞ」
俺は、行き止まりになっている温泉施設の駐車場をグルグル回る。
「やっぱり道がない」
方向としては間違っていないが、
雪が分厚く、望岳台へは行けないことが明らかとなった。
「とんでもないところ教えちゃって、申し訳ないな」
「いや、良いんだ。その神秘的な景色を観たかったんだからさ」
望岳台まで、あと4�q。
月は優しく光を放ち、
あたりは青白かった。
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