どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

大人は口ばっかしだと思われるのは避けたい


今年の夏だったか、
君が、俺の車に乗った時、

「何これ!何んで、馬のお面が車の中にあるの?」
興奮しながら俺に訊いたね。

「人助けをした時は、さりげなくいきたいからね。顔が出ていない方が良い」
俺は静かに答えた。

「欲しい。これ欲しい」と、ねだった君を、

「いつ、その時がくるかわからない。これは大事なものだから、あげられない」
そう言った。

君は、あまりにも、その馬のお面を、
欲しそうな、まなざしで見つめているものだから、
俺は、ついつい口が滑った。


「誕生日に買ってやるよ」


そして、君の誕生日の月が来た。
早いもんで、もう12月だ。

俺は、君と交わした約束を覚えている。

大人は、口ばっかしだと思われるのも、
大人として、男としても、あってはならない。

だから、俺は、いとこの姉ちゃんにメールをし、
いとこの姉ちゃんの子どもである君の誕生日を確認した。

人へプレゼントすることなんて、そうそうないけどな、
プレゼントする時は、結構、悩む。
君の場合は、もうリクエストがあるから悩まないけれど。

ただね、一つだけ悩んだ。

君は、もう一つ、俺にねだったものがある。


それは、ポストカード。


人からすれば、悩む必要がないかもしれない。
二つやればいいしょって話になるからな。
俺もな、この日記を書きながら、
馬のお面は後回しだなと思っている自分に罪悪感を感じ始めた。


そう馬のお面は、今回はなしだ。


それでも、馬のお面が欲しいんだってことになれば、
いつか、俺は、その約束を守る。
最高の馬のお面をプレゼントする。



今日、ポストカードに手紙をそえ、
君の手元だけではなく、君の心にも届けば良いなと願い、贈った。



15歳、誕生日おめでとう。



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