どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

俺は巻き込んでいる

この場所は、俺が普段生活している場所と、
時間の流れが、違うんじゃないかって、
時々、不思議な感覚に陥る。

すごい、ゆっくりと時が流れる。
ばあちゃんちは、小さな川の流れのように、ゆっくりとのんびりと時が流れる。

その日は、ばあちゃんちに泊まることにした。

時計を見たら、夜9時。
ばあちゃんは、1時間前に布団に入った。

読んでいた本を閉じ、やることもないし、俺も布団に入ることにした。
何時間過ぎたのだろう?いや何分しか経っていないのか?
蒸し暑いせいもあり、早寝しすぎたのもあり、
俺は、再び、布団から、むっくり出てきて、外に出た。

車がたまあに通るくらいのもので、
音はないに等しく、あたりは真っ暗、
静かな夜。

俺は、車の中に入って、暗闇の中、煙草を吸い、
その日のポストカード営業で会った人との会話を思い出す。
その日は、何度も、何度も、頭をよぎり、自分自身との会話を繰り返した。


自分自身との会話の合間に、以前、観た映画『酔いどれ詩人になるまえに』の言葉が頭の中に、こだまする。

「もし、何かにトライするなら徹底的にやれ、でなきゃ、やるな」

応援してくれている人たちの顔を思い浮かべた。
ポストカードを置いてくれている店や、
この楽雲庵塾をみてくれている人たち。

ありがてぇなって、感謝の気持ちが浮かんで、
どうして応援してくれてるんだろうって考えたり、
そんな人たちを巻き込んでやっているんだよなぁって考えた。

置いてくれている店は、その貴重なスペースを、俺に提供してくれているわけで、
ポストカードが売れなきゃ、商売にならない。

これから、一緒に作品を創る、幼なじみの友達にしても然り。
普段、仕事で夜も遅く、それに今月は、結婚式を控えている。

何で、俺と一緒にやるって言ってくれたんだろう?
幼なじみだからなのかなぁ?
迷惑じゃないのかなぁ?って、考えてたら、その訳を聞いてみたくなった。

日曜日に、会えるか?って、数日前に、メールをしていたから、
会えるかどうかを確認するのもあって、電話をした。

Rrrrr,Rrrrr。
留守番電話サービスです。

まだ、仕事なんだろうな。
電話をきり、俺は、煙草を吸い、また、自問自答を繰り返す。


30分程経った頃、俺の携帯電話が鳴った。
その友達からだった。
「今、仕事、終わった」
「あいかわらず、忙しそうだな。それで、日曜はどうだ?」
「あぁ、大丈夫だよ」

日曜日の会う時間や場所の話をし、今日のポストカード営業の話をした後、
俺は、気になっていることを聞いた。

「何で、一緒にやるって言ってくれた?」

「おもしろうそうでしょ」笑いながら、友達が言った。


そのシンプルな言葉は、俺が巻き込んでいるのは迷惑じゃないのかって気持ちを一掃した。



電話を切り、俺は、豆電球のうっすら明るい、ばあちゃんちに戻った。




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