ここの図書館は、本当、気持ちが良い。
毎回、来るたびに思う。
図書館で働いている人が「こんにちは」と来館した人に声をかける。
挨拶だけなのかもしれないけれど、このやりとりが、本当、気持ちが良い。
俺は、北海道について調べるため、館内を一通り見て歩いた。
そして、一冊の本が目に止まる。
「どさんこ 厳寒を生き抜く馬たち 佐久間陽三著」
北海道民を称し、「どさんこ」と呼ぶ。
どさんこは、北海道を代表する馬って知識しか、今の俺は持ち合わせていない。
よく、耳にするし、ここは、どさんこについても知っておこうかなと、
本を手に取り、ページをめくった。
写真がメインなんだけど、どさんこについてのルーツも書かれていて、
よし、借りて、ゆっくり読もうと、その本を借り、ばあちゃん家に向かった。
『そのルーツは東北地方の南部馬といわれている。江戸時代、鰊(ニシン)漁を請け負って渡って来た南部の人たちが、運搬手段として連れてきた南部馬を、冬になって本州へ引き揚げる際にそのまま置き去りにしていった』
ん?置き去りにしていった?
『翌年、再びやってくると、生き延びて野生化した南部馬を捕まえ、新しく連れてきた馬と一緒に酷使』
勝手だな、人間。俺が馬なら蹴り飛ばすなとか、馬の方が圧倒的に足が速いのに、逃げないのかなぁとか、一緒に働いた馬に愛情を感じないのかと考えている俺に、
「何を読んでいるのか」とばあちゃんが聞いてきた。
「将来的に、どさんこに乗って、移動しようと思ってね」と冗談を飛ばす俺を見て、
ばあちゃんは、また馬鹿なことを言っていると、くすくす笑った。
「ばあちゃんも馬を飼ってた?」
「ああ、飼ってたよ。どさんこじゃなかったけどね」とばあちゃんは指を折り、飼ってた馬を数え、「三頭飼ってたね」と教えてくれた。
「馬って可愛い?」ここは、飼っていた人に聞くのが、一番良いなってことで、さらに質問をしてみた。
「かわいいよ。言うこと聞くし、よく働いてくれたしね。そういえば、苫小牧のおじさんは、一人にしておくと危なっかしくてね、馬に乗せながら働いたけど、今、考えると、(落馬したらと思うと)ぞっとするよ」と昔の話を聞き、
馬に対する愛情についての疑問は、何か問いただすようで嫌だったからやめることにした。
例えば、家畜をしている人が、大切に育てた豚や馬が食肉となるために、
運ばれている姿を見るのは、やっぱ悲しいだろうなって思う。
それも、家畜をやっている人に聞いてみないとわからないけれど。
俺は、再び、本に目を落とした。
『この繰り返しによって、いつしか、耐寒、粗食で力持ちという、・・・ドサンコが誕生した』
俺は、北海道生まれなのに、寒さに滅法、弱いもんな。
飼い主に置いて行かれ、寒さにも耐え、
それでも生き抜いた、逞しいどさんこ。
どんさんこの気持ちを考えながら、俺は、本を閉じた。
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