どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

二巡目のバッターボックスに立ち

俺は、いとこの兄ちゃんに質問をした。
そのいとこの兄ちゃんは、以前、営業の仕事をしていた。

「アポって取ってから行くの?」

「アポなしだよ。アポすら取れないから飛び込み」

「ふ〜ん、やっぱ何回も行くの?1回行ったとこって、もう、話したいこと話しちゃってるから、2回目って話すことなくない?」

「世間話に行く」

「2回目以降は世間話ね〜」

「1回目からだよ。契約はタイミングだからな。機嫌が良い時にぶちあたれば良いんだ」


ふ〜ん、そんなもんなのかねと俺は聞いた。
今の行動を起こそうとしなければ聞かなかったであろう話。
営業には、まったく興味がなかったけれど、
ポストカードの営業をしている今となっては、
おもしろい話に変わっているから不思議なもんだ。

営業は、当たり前のようにノルマがあって、達成できなかったら、どうなるの?と聞くと、説教を喰らうらしい。
やってられんな。

俺の場合は、ノルマなんてないし、辞めたければ辞めれば良い。
ただ、足は鈍ることがある。
止まっちゃおうかなって弱気になることもある。
ただ、足を止めた時点で、風も起こらないのもわかるから、やっぱり必死に走る。


俺は、爪跡を残すべく、プロフィールを作り、一度、訪れた喫茶店に足を運んだ。

「この前は、ありがとうございました。アイスコーヒーをお願いします」

アイスコーヒーを飲みながら、店内をゆっくりと見る。
やっぱ、ここに置いてもらいたいなぁ。
白と焦げ茶色で統一されている店内は、おしゃれで、落ち着ける。

俺は席を立ち、店内に置かれている写真家や画家のポストカードを眺めた。
中腰になってポストカードを眺めている俺に、オーナーが、後ろから声をかけてくれた。

少しばかり、話をした後、「今日は、プロフィールを持ってきました」と、
俺は封筒に入れたプロフィールをオーナーに手渡した。
オーナーは感想を言いながら、丁寧に目を通してくれた。

そして、店のコンセプトを話してくれた。
この街にちなんだポストカードを置く。
この街を応援したい、そんな気持ちが伝わってきた。


ここの喫茶店に訪れる前に、違う店にも営業に行った。
その店でも、同じようなことを言われた。
この街にちなんだポストカードじゃなきゃ置けない。


前田真三って知っているかい?」

「知りません」俺は正直に答えた。

「あそこにある写真だよ」

俺は、顔を左に向け、壁にかかっている写真を見た。
たぶん、誰もが目にしているであろう北海道の風景写真が、何枚か貼ってあった。

「もう亡くなったんだけどね。前田真三の写真以来、みんなあんな感じのアングルで撮るようになった。君の視点はおもしろい。君のアングルで、この街を撮って、ポストカードと同じように言葉を添えて、また提案しに来てよ。君のポストカードは、物語があって良い」


俺は、その話を聞いて、気持ちに、少しばかりの変化が起こった。

俺の伝えたい言葉や写真じゃなきゃ意味がないだろ?
このポストカードを置いてもらえなきゃ意味がないんだ。
店に置いてもらうという目的が先にあるのは違げぇ。
何も、伝えたいものがないのであれば、置いてもらう意味すらなし。
そう思っていた。

ただ、俺も、この街が好きだし、応援したいって気持ちもある。
それなら、この街をテーマとした、故郷や家族や友達へ贈るポストカードがあっても良いなって思えた。

俺の視点で、俺の言葉を添えて、この街を撮ってみようかって思った。


この二巡目のバッターボックスは、ただのアウトに終わらせない。




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