どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

故郷に掲げる一本の旗

俺は、黄色い分厚い本(タウンページ)を広げる。
そして、「日用品雑貨店」のページに直行する。

ねぇえじゃねぇかぁ。

この街に、雑貨店はなかった。
いや、正確には、まったくないわけじゃない。
そのページに掲載されている雑貨店は2軒。
ただ、雑貨店は、雑貨店でも、100円ショップ。
俺が目指している場所じゃあない。


俺は、数日前に、思い立つ。
「故郷に、俺のポストカードが置いてないのはいかんな」と。
そう思い立ち、実家に帰り、行動に移すべく、タウンページを広げた。

タウンページになければ、友達だなと、携帯電話を手に取り、メールをうつ。
返ってきたメールには、喫茶店の名前が書かれていた。

なるほどな、喫茶店って手もあるなと、再び、タウンページを広げる。
喫茶店のページに直行する。

ある、ある。

ポストカードを置いてくれそうな店はわからないが、喫茶店は確かにある。
タウンページをぺら、ぺらめくっている俺に、母が話しかけてくる。

「あそこの店には、ポストカードが置いてあるよ。ただ、オーナーは午後にならないと出てこないけどね」

なぜ、母が、そんな情報を掴んでいるかはわからないが、とりあえず、突撃する場所は決まった。
そうこうしていると、再び、携帯電話にメールが入ってくる。
友達からだ。
明日は、仕事がないから一緒に回ってくれるというメールだった。


雨が今にも降りそうな日曜日。
俺は、その友達を車に乗せ、喫茶店を回った。

2軒目。

「うちは、そんなに売れないと思うけど良いのかい?」

心の中で、にやけた。
いや、はにかみながら、顔も微笑んでいたと思う。

俺の母親くらいの年齢のオーナーは、それから、いろんな話をしてくれた。
せっかくだから、たくさんの人に見てくれるところに置いた方がいいねと、
あそこはどうだい?あそこも置いてくれるからもしれないよと、いろいろ教えてくれた。


それから、何軒か回ったけど、結局、空振りに終わった。
ヒット性の当たりもあったけれど、結局、だめだった。
ただ、まだ、攻める余地は残されている。
もう一度、準備して、再び、攻めにいくよ、我が故郷。



とりあえず、とりあえず、一本の旗は立てた。




*****

[ARTs*LABo P-web04]
時:2008年6月1日〜6月30日 1ヶ月間開催
会場:ARTs*LABo P-web04特設サイト
http://poscaten.nomaki.jp/web/top.htm
とうとう始まりました。web上でも、ポストカードが観れます、買うことができます。ぜひ。



[芸森アートマーケット2008]
日時:2008年6月8日 10:00〜16:00
場所:札幌芸術の森札幌市南区芸術の森2丁目75)


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