何年ぶりだろうか。
台所に立ったのは。
「食器も使わないし、いらねぇな」と思っていた昨今。
何せ、仕事からクタクタで帰ってきたところ、
飯を作るという行為がめんどくさい。
飯を食った後に、皿を洗うのが、更にめんどくさい。
「家事で一番嫌いなのは、皿洗いです」と言い切れる。
女の子から作ってもらった飯を食うのが一番好きだけど、
料理を作るのは、そんなに嫌いじゃない。
ただ、皿を洗うのが嫌いなんだ。
バイトで皿洗いをしていた頃は、
そんなに嫌いじゃなかったのに、
自分で作って食べるとなると、
めんどくさくて仕方がない。
そんな俺の家に常備されている調味料は、
マヨネーズくらいしかない。
この台所に立っていなかった数年。
俺は皿洗いというめんどくささからは解放されてきた。
しかし、秋がちらつき始めた日曜日。
「こんな生活は金がもったいねぇな」と思い立つ。
俺は、数年ぶりに、包丁を持ち、玉葱を切り、鍋に入れる。
「肉がねぇ。肉がなきゃ始まらない」と、
再び、スーパーに肉を買いに行き、
グツグツ沸騰した鍋に肉をぶち込む。
ここまで書けばわかるように、
俺はカレーを作った。
カレーうどん。
俺の作るカレーは、玉葱と肉しかいれない。
カレーの兄弟であるハヤシライスも玉葱と肉しか入っていないから、
これと同じ理屈。
ただ「ルー」が、カレーかハヤシライスかの違い。
小さい頃に、「じゃがいもとにんじんがなければ良いのに」と、
思っていたのを実現している。
そんなわけで、俺は当分、カレーを食い続ける。
2日連続、カレーうどんだったから、
そろそろカレーライスにしようかな。