「そういえば、今日で、この楽雲庵塾も3年になるんだったなぁ」
そんなことを考えながら、晴れた日の早朝、
俺が止めた車の先には、アスファルトに座る自衛隊員が1人。
新潟県に災害派遣で来てくれているのは、一目瞭然。
俺は、車から降り、その自衛隊員に声をかける。
「おはようございます。ありがとうございます」
「おはようございます」
俺よりも、たぶん若い青年が、挨拶をしてくれる。
こんなに朝早くから、仕事なんだなと、俺は、俺の職場に向かう。
「すみません、今日の仕事、なくなったんですよ」
俺の早朝の仕事は、キャンセルになったらしく、
「まあ、また、寝れるからいいや」って、
俺は、再び、その駐車場に戻ってきて、
アスファルトに座る自衛隊員に声をかける。
「どこから、来たんですか」
「大阪です」
「こりゃまた、遠いですね」
「撮影に行けって、言われたから来たんですけど、誰もいないんですよ。待ちぼうけです。ははは」
俺も一緒に笑う。
「こういう、ちっちゃなアンラッキーは、好きだなぁ」って、
失礼かもしれないことを考えながら俺は、再び車の中に戻る。
ちなみに、俺も、何のために、早朝に起きたかはわからない状態になっている。
まあ、ちっちゃなアンラッキーだ。
大したことはない。
俺の住んでいる街は、あいかわらず水が出ない。
水が出ない生活は、ここまで不便だったのかと、今更、気づく。
トイレも流せないし、
洗濯もできないし、
風呂も入れない。
ただ、俺は、金で買えないものを、この地震では、なくしていないから、大したことはない。
不便なだけだ。
今日は、風呂に入りに、隣の町まで、友達と出かけた。
風呂嫌いなのに、頭を三度洗いした。
本当に気持ちが良い。
帰り際、「ありがとうございました。気持ちよかったです」と、
無料で、入浴させてもらった、せめてものお礼を、入浴施設の職員に伝える。
朝の自衛隊員もそうだし、
夜の入浴施設の職員もそう。
「やって良かったな」って思ってもらえるくらいは、せめて礼で返したい。
※やって良かった個展の様子は、楽雲庵塾『企画』のページに少しずつ、更新していきます。