母さんが、飲んでいた真っ黒い飲み物。
その真っ黒い飲み物は、俺の中で、大人の飲み物ということになっている。
その名もコーヒー。
うまそうに飲んでいるもんだから、「ちょっと俺にも飲ませてくれ」と飲ませてもらった。
飲んで驚いた。
なんだ、この苦さ。こんなものを、よくうまいと感じるな。
俺は、ただ大人の真似をしたくて、そのコーヒーに、砂糖やらミルクを入れまくって飲んだ。
俺が子どもの頃、大人はしっかりしていて、安定しているように見えた。
俺も大人と呼ばれるような年齢になって気づく。
あの頃に抱いていた大人は、俺の想像の中でしかなかった。
大人は、そんなに強くもない。
悩みだってあるし、
辛いことだってあるし、
不安だってある。
俺よりも長いこと生きていて、悩みがあるんなら、
俺も悩みがあって当たり前。
まあ、悩みはないにこしたことない。
苦労は、ほどほどにして欲しい。
なかなか、いろんなことがあるな。
ちなみに、ビールも大人になったら、
うまく感じるようになると思っていたのに、
うまくないのは、どうしてだ・・・。