小さな町の、小さな居酒屋さんのカウンターで、ちびちびと、お酒を嗜む生活をしてみたいなあ、と思うが、私はお酒が飲めない。残念ながら全く。
この本に登場するツキコさんとセンセイは、そんな生活を繰り返す。
会う約束をするでもなく、行きつけの居酒屋さんで、ばったり出会うと、2人は一緒に、お酒を飲み、会話を交わす。
そんな何気ない日々を繰り返し、2人の距離は、少しずつ、ほんの少しずつ縮まっていく。
物語の中盤に差し掛かった頃に登場する、小島孝というツキコさんの同級生の存在が、物語を、より一層、おもしろいものにする。小島孝は、ツキコさんに気があり、アプローチ何度か繰り返す。反対にセンセイは、奥手なのか、まったくそんな素振りもみせない。恋愛に発展するの?というくらい進展がない。この進展の遅さが、物語を受け入れ易いという側面もある気がする。